愛知県は2025年11月、県内初となる県立高専の設置を正式に発表しました。「高度なものづくり人材」の育成を図るため、最短で2029年4月の開校を目指しています。新設校ゆえに情報が少なく、2029年度に向けて受験の対象となる中学生や保護者の中には
- 既存の高専や普通高校と何が違うの?
- 高専卒業後の進路は?
- 子供に合っていなかったらどうしよう……
と感じて、情報を探している方も多いのではないでしょうか。
僕は高専で5年間過ごした卒業生です。 寮生活や成績の浮き沈みも含めて、高専のリアルを体験してきました。 現在はその実体験をもとに、高専情報サイト「寮ラボ」を運営しています。
高専人サミットでご縁を頂き、愛知県の担当者と直接やりとりしながら記事を書き上げました。
この記事では、愛知県立高専の基本情報と学べる内容、3つの注目ポイントを2026年4月時点の最新情報をもとに解説します。この記事を読めば、愛知県立高専の特色や強みを把握して自分に合った進学先か判断できます。
高専は15歳から5年通う高等教育機関

高専(高等専門学校)は、中学卒業後に入学する5年制の高等教育機関です。比較されがちな普通高校や工業高校は中等教育機関に位置付けられており、教育の区分が異なります。
高専では1年次から工学やIT、建築などの専門分野を学び、大学工学部レベルの知識や実践力を身につけます。普通高校と違って大学受験がないため、5年間を丸ごと専門スキルの習得に充てられる点が強みです。
5年間の一貫教育を受けて卒業すると「準学士」の称号が授与され、大学の3年次への編入が可能です。全国の58高専は、国立・公立・私立と設置主体がさまざまです。愛知県にはすでに国立豊田高専があり、今回の県立高専は2校目になります。
高専について、普通高校や工業高校、専門学校を比較した記事で詳しく解説しています。

高専は専門性が高いため、入試や入学後の学習に不安を感じる方も多いです。
愛知県立高専(仮称)の基本情報

愛知県立高専の基本情報を表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称(仮称) | 愛知県立高等専門学校 |
| 設置・運営主体 | 愛知県公立大学法人 |
| 設置場所 | 名古屋市千種区星が丘山手(愛知総合工科高校校地内) |
| 学科 | デザイン情報工学科(1学科)※1,2 |
| 定員 | 1学年40名(5学年で合計200名予定) |
| 開校時期 | 最短で2029年4月を予定 |
| 初代校長予定者 | 水谷法美氏(前名古屋大学副総長) |
※1. 2年次以降に「ロボティクス」と「AI・デジタル」のコースに分かれる予定
※2. 学科名・コース名は文部科学省の設置認可により正式決定
※3. 地下鉄星が丘から徒歩6分で通えるため、寮の設置予定なし
愛知県立高専は、愛知県公立大学法人が運営する県内初の県立高専です。県立愛知総合工科高等学校と併設し、可能な限り既存施設を活用する方針です。
対象学科は「デザイン情報工学科」の1学科40名で、2年次以降に2つのコースに分かれます。2029年4月の開校を目標に、文部科学省の認可取得を進めています。
初代校長の水谷法美氏は名古屋大学で工学部長・研究科長を歴任した方です。技術者教育の国際認定(JABEE)にも精通しており、開校の準備をリードしています。
寮の設置予定がないため、通学圏が限られる点には注意が必要です。
新設校のため、卒業生の進路実績はまだありません。教育内容や運用は開校後に調整される可能性があります。新設校への進学を検討する上で、どのような情報をもとに判断するかはあらかじめ整理しておきましょう。
※後述の「検討時に押さえておきたいポイント」で詳しく解説します。
マーティー新設校の環境変化も含めて、
どう捉えるかが大切ですね。
【引用元】
愛知県立高専の新設は「産業界のDX推進」が狙い


愛知県立高専が新設される背景には、以下の3つがあります。
《新設の背景》
- 生産年齢人口の減少
- DX・AIの急速な進展
- 愛知県産業界からの強いニーズ
2040年には、AIやロボットを活用できる人材が約340万人不足すると経済産業省は推計しています。自動車や航空機などの製造業が中心の愛知県にとって、避けて通れない課題です。
産業の自動化やデジタル化の加速により、情報技術を駆使して産業界のDXを推進できる「高度なものづくり人材」の需要が急増しています。卒業後に即戦力となる専門人材の育成には、5年一貫教育が適しています。基礎から応用まで体系的に学べる高専が、人材育成の場として選ばれました。
愛知県は2016年に愛知総合工科高等学校を設置し、「生産現場のリーダー育成」で実績を積んできました。高専の新設は、工科高校での実績をさらに発展させた取り組みです。高専卒業生の高い就職率や求人倍率、実践的な技術力への評価が、今回の高専新設を力強く後押ししています。
【引用元】
デザイン情報工学科で学べる2コース


愛知県立高専は「デザイン情報工学科」の1学科40名の定員で計画されています。
機械・電気電子技術と情報技術を活用し、様々な社会の課題やニーズを本質的に捉え、魅力あるサービスや製品を生み出す実践的技術力を身に付ける学科。
愛知県知事会見より引用
学科名にある「デザイン力」は、単なる見た目・外観の意味ではありません。
既存の方法では解決できない社会課題やニーズを本質的に捉え、これまでにない解決策を見出す力——これを「デザイン力」と定義しています。高度な情報技術とデザイン力を掛け合わせて、産業界のDXを推進できる人材の育成が目的です。
デザイン情報工学科は、2年次以降に2つのコースに分かれて専門性を深めます。まずは共通カリキュラムで基礎を固め、進みたい方向を見定めてからコースを選択できます。
《デザイン情報工学科の2コース》
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ロボティクスコース(情報融合型)
ロボティクスコースは、機械・電気電子技術と情報技術を融合して学ぶコースです。ロボットやモビリティの仕組み、より高度な活用法を学び、ハードウェアとソフトウェアの両面から実践的な技術力を身に付けます。
自動車・機械産業が集積する愛知県の産業構造と、直結した学びが受けられます。
【ロボティクスコースが向いている人】
- 機械やロボットに興味がある
- 電気・メカと情報を組み合わせたい
- ものづくり現場に近い技術者を目指している
AI・デジタルコース(情報特化型)
AI・デジタルコースは、AIやサイバーセキュリティ、データサイエンスなどの情報技術に特化して学ぶコースです。AIやソフトウェア技術を武器に、産業のデジタル化を最前線で支えるエンジニアを育成します。
IT人材が急速に不足する現代社会において、企業からの需要が高い分野に特化した実践的な学びが受けられます。
【AI・デジタルコースが向いている人】
- AIやプログラミングに興味がある
- データ分析・セキュリティを学びたい
- ソフトウェア系のエンジニアを目指している



専門的な学びを経験していない中学生にとっては、大きなメリットですね!
2つのコースは「デジタルものづくり」という軸でつながっており、愛知県の産業ニーズに直結しています。
愛知県立高専の3つの注目ポイント


愛知県立高専には、他の高専にはない3つの特徴があります。
《愛知県立高専の注目ポイント》
\ 気になる見出しをクリック!/
既存高校(愛知総合工科高校)に併設
愛知県立高専は、2016年に開校した愛知総合工科高校の校地内に設置予定です。愛知総合工科高校は、愛知県立の工科高校の中でもトップクラスの最新鋭設備を備えています。大学で使うものも導入されており、その設備を高専でも活用する計画です。
【愛知総合工科高校について】
- 2016年4月に開校した愛知県立の工科高校
- 県内の工科高校の中でもトップクラスの設備
- 3年制本科と2年制専攻科で現場リーダー育成
- 2026年4月には敷地内に附属中学校が開校



中学・高校・高専が同じ校地に集まる環境はワクワクします!
将来的な連携にも期待したいですね。
新設校でありながら既存の設備をフル活用できるのは、愛知県立高専の大きなメリットです。
大学法人が運営主体だからできる連携
愛知県立高専の運営主体は愛知県立大学や愛知県立芸術大学も運営する「愛知県公立大学法人」です。同一法人内に大学があるため、教員や施設、カリキュラムなどの横断した連携体制を構築できます。
大学と高専が同一法人の傘下に入るのは公立の特色のひとつで、大学の研究者から最前線の知識を学べる機会が期待できます。



大学教員が高専で授業するような連携が実現すれば、教育の質が高まりますね。
大学法人が運営主体を担う仕組みは、高専教育に新しい可能性を生み出す原動力となります。
1学年40名の少人数制による教育
愛知県立高専の1学年定員は40名で、全国高専の平均定員(約160〜200名)と比べると少人数体制です。教員1人あたりの学生数が少ないため目が行き届きやすく、手厚いサポートが受けられます。
プロジェクト型の演習や実習においても、全員が主役として参加できる環境が整います。
【少人数制のメリット】
- 1教員あたりの学生が少ない手厚い指導
- クラスの一体感、チームでの学びが深まる
- 一人ひとりのペースに合わせた対応



母校の高専は1学年160名。
40名なら5年間で全員と深く関われますね!
少人数制は手厚い指導が受けられる一方で、コミュニティが固定化しやすい側面もあります。
愛知県立高専を検討する上で押さえておきたいポイント


愛知県立高専には魅力的な特徴があります。
一方で、進学を検討する上で事前に確認しておきたいポイントもあります。



入学後のミスマッチを防ぐためにも、事前に整理しておきたいですね。
新設校のため教育環境は検討段階
愛知県立高専は、2029年に開校予定の新しい学校です。開校に向けて、教育内容や運営体制の検討・整備が進められています。
在学中にカリキュラムや運用が調整される可能性は、あらかじめ理解しておきましょう。特にAIや情報分野は変化が速く、時代に合わせた見直しも想定されます。
一方で、新設校だからこそ学校づくりの過程に関われる点は大きな特徴です。主体的に学びたい人にとっては、成長の機会が多い環境です。
通学を前提とした学習環境
愛知県立高専は寮の設置予定がなく、自宅からの通学が前提となります。
通学時間や通学手段によっては、日々の生活リズムや学習時間、課外活動に影響が出る可能性があります。特に高専は課題や実習が多いため、無理なく通えるかは事前に確認しておきたいポイントです。
寮を完備して全国から学生が集まる高専とは異なり、地域に根ざした学びとなる点が特徴です。自宅から通える安心感や今の生活環境を維持しやすい点はメリットです。
情報工学系に特化した教育内容
愛知県立高専は、情報工学を軸にした教育が特徴です。AIやデータサイエンス、ロボティクスなど、デジタル技術を活用したものづくりを中心に学びます。
学びの中心が情報分野に置かれるため、興味関心との相性はあらかじめ確認しておきたいところです。どのような分野に関心があるのか、また継続して取り組めるかを整理した上で進路を検討しましょう。
一方で、成長分野に特化して専門性を高められる点は大きな強みです。自分に合っているかを判断できるよう、必要な情報を整理しておきましょう。
少人数制ならではの学びと人間関係
愛知県立高専は、1学年40名という少人数制の教育が予定されています。同じメンバーで5年間過ごすため、人間関係の影響を受けやすいです。
少人数のため学年の関係性が深まりやすく、学びやプロジェクトに一体感が生まれます。また、教員との距離が近く、一人ひとりに目が届きやすい点もメリットです。
自分に合う環境かを考える際は、学習面だけでなく日常の過ごし方も含めてイメージしておきましょう。
新設高専が抱える課題は「教員の採用」


愛知県立高専の2029年開校に向けて、大きな課題は専門分野の教員採用です。教員不足の悩みは愛知県だけのものではありません。高専人サミット2026 in NAGOYAで登壇した新設高専の担当者も、口を揃えて同じ課題を挙げていました。
特にAIやサイバーセキュリティなどの最先端分野の専門知識と、教育への高い意欲を併せ持つ人材の確保は容易ではありません。


愛知県公立大学法人は2026年3月に開校準備教員の公募を開始しています。公募の詳細は、愛知県公立大学法人のホームページから確認できます。



この記事が教員公募に興味を持つきっかけになれば嬉しいです!
文部科学省への認可申請に向け、準備が進んでいます。
まとめ|愛知県立高専は少人数制のデジタルものづくり高専


産業界のDXを最前線で推進する「高度なものづくり人材」の育成に向け、愛知県立高専の開校準備が本格化しています。2026年4月時点の情報をもとに、全体像と強みを整理します。
【愛知県立高専まとめ】
- 開校予定:最短2029年4月
- 学科:デザイン情報工学科1学科・定員40名
- コース:ロボティクス/AI・デジタル
- 場所:愛知総合工科高等学校の校地内
- 運営主体:愛知県公立大学法人
愛知県内の高専はこれまで国立豊田高専のみでした。2029年の県立高専誕生により、受験生が進学を選ぶ幅が広がります。他校にはない、愛知県立高専ならではの3つの強みは以下です。
- 既存の高校に併設
- 大学法人が運営主体
- 1学年40名の少人数制
具体的なカリキュラムや入試制度などの詳細情報は順次公表される予定です。最新情報は愛知県公式サイトの「高専設置準備室」ページで確認してください。



本記事をきっかけに、受験を考える中学生や、教員採用に興味を持つ方が一人でも増えることを願っています!














