- 高専を受験したいけど、志望校が1つだと不安……
- 複数の高専を同時に受験できる制度が気になる。
- どの高専が対象なのか具体的に知りたい!
-高専受験を考えている中学生や保護者の、不安や疑問にお応えします!
高専は、一般的な普通科高校とは異なる特色を持つ学校です。受験についても高専独自の制度が存在します。しかし、高専は進学先として情報を集めにくいのが実情です。
僕は高専で5年間過ごした卒業生です。寮生活や成績の浮き沈みも含めて、高専のリアルを体験してきました。現在はその実体験をもとに、高専情報サイト「寮ラボ」を運営しています。
先に、この記事の結論をお伝えします。複数校志望受験制度は、複数の高専へ同時に出願できる制度です。
令和9年度(2027年4月入学。今の中学3年生が受ける入試)の募集要項で確認できるのは、北海道4校・東北4校・中国四国の商船高専3校(商船学科)の3地区です。制度は地区ごとに別で、条件も違います。
確認できた募集要項では、3地区とも、合格できるのは1校だけで、志望順位が上位の高専の合格が優先されます。
複数校志望受験制度とは複数の国立高専を同時に受験する制度
国立高専の複数校志望受験制度とは、学力選抜において複数の国立高専を同時に受験できる制度です。
複数校志望受験制度を使わない場合は、同じ高専の学科しか同時に志望できません。複数校志望受験制度を使うと、第一志望の高専に加えて、他の高専も第二志望以下として同時に受験できます。

3地区とも、高専を志望する受験生の進路選択を広げるための制度として説明されています(函館・秋田・仙台・広島・大島の令和9年度募集要項)。
国立高専の受験で複数校志望受験制度を活用するメリット
国立高専の受験で複数校志望受験制度を活用するメリットを2点挙げます。
- 入りたい学科・類・コースがある高専を複数志望できる。
- より高いレベルの高専に挑戦できる。
①について、例えば第一志望の高専で不合格になった場合を考えてみましょう。複数校志望受験制度を使わないと、その高専の他の学科か、公立・私立の高校に進学先を探すことになります。
複数校志望受験制度では、第一志望が不合格でも、条件を満たしていれば、第二志望以下の高専で合格となることがあります(北海道・東北の募集要項では「スライド方式」と呼ばれています)。
②についても例を挙げます。第一志望にしたい高専Aが、今の実力より少し上の学校という場合です(仮の例です)。
1校しか選択できない場合、合格しやすそうな高専Bを選ぶ人もいるでしょう。複数校志望受験制度を活用できれば、第一志望を高専A、第二志望を高専Bとして、挑戦しながら備えることもできます。
複数校志望受験制度により、進路選択の幅が広がるメリットがあります。
複数校志望受験制度が対象の国立高専
複数校志望受験制度が設けられている国立高専は下記3地区の高専です。
令和9年度(2027年4月入学)の募集要項を、2026年10月6日に確認しました。その内容を、まず表で並べます。
| 地区 | 対象の高専 | 志望できる数 | 入学の条件 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 函館高専3学科・苫小牧高専1学科・釧路高専1学科・旭川高専5学科 | 最大10学科(第10志望まで) | 合格した高専に必ず入学する者 |
| 東北 | 秋田高専1学科・八戸高専4コース・一関高専1学科・仙台高専3類 | 最大第9志望まで | 合格した高専に必ず入学する者 |
| 中国・四国(商船学科) | 広島・大島・弓削の商船高専3校の商船学科 | 3校(第一〜第三志望) | 各校の募集要項で確認 |
上の3地区に入っていない高専では、この制度を確認できていません。志望校の募集要項で、受験の方法を確認してください。
対象の高専も、志望できる数も、入学の条件も、地区ごとに違います。自分の志望校がある地区の説明から読み進めてください。
複数校志望受験制度が設けられている国立高専
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北海道4高専(函館・苫小牧・釧路・旭川)で複数校志望受験制度が使用できる
北海道の4高専(函館・苫小牧・釧路・旭川)は、計10学科から複数校志望受験制度で同時に出願できます。第一志望から第10志望まで志望できます。(令和9年度の函館高専の募集要項)
北海道の4高専は同じ制度ですが、募集要項での区分の呼び方は、函館高専と苫小牧高専で違います。
函館高専は、専願・併願・複数校志望の3つに分けて説明しています。専願は、第一志望として受験し、合格したら必ず入学する区分です。併願は、高校などと併願し、合格後に入学を選べる区分です。
苫小牧高専は、複数校志望で出願する人も「専願の志願者」として扱うと書いています。
どちらも、複数校志望で出願できるのは、入学意志が特に強固で、合格した高専に必ず入学する者です。
函館高専では、合格者は専願と複数校の受験者を優先して決定し、併願の受験者はその後に決まります。高専への入学意志が強い場合は、活用を検討しましょう。
各高専の学生募集要項はこちら
函館高専の学生募集要項(令和9年度)
苫小牧高専の学生募集要項(令和9年度)
釧路高専の学生募集要項(令和7年度版)
旭川高専の学生募集要項(令和7年度版)
※釧路高専・旭川高専は令和9年度版を確認できていないため、リンクは令和7年度版です。最新の募集要項は、各校のサイトで確認してください。
東北地方4高専(八戸・一関・秋田・仙台)で複数校志望受験制度が使用できる
東北地方では、以下の4高専で複数校志望受験制度が使用できます。第一志望から第九志望まで同時に受験できます。
仙台高専は「類」、八戸高専は「コース」で志望先を選びます(令和9年度の秋田高専・仙台高専の募集要項)。

東北の4高専は、学力検査の科目や配点が各高専で異なります。
秋田高専は理科・英語・数学・国語の4科目ですが、複数校受験では、秋田高専が第一志望でも社会の受験が必要です。
八戸・一関・仙台は理科・英語・数学・国語・社会の5科目で、各教科100点のうち、八戸高専は理科と数学を2倍・英語を1.5倍、仙台高専は数学を2倍して選抜します(令和9年度の秋田高専の募集要項)。
各高専の学生募集要項はこちら
八戸高専の学生募集要項(令和7年度版)
一関高専のサイト(入試案内はこちらから確認)
秋田高専の学生募集要項(令和9年度)
仙台高専の学生募集要項(令和9年度)
※八戸高専は令和9年度版を確認できていないため、令和7年度版へのリンクです。一関高専は学校サイトへのリンクです。最新の募集要項は、各校のサイトで確認してください。
中国・四国地方3高専(広島・大島・弓削)で複数校志望受験制度が使用できる
中国・四国地方では、広島・大島・弓削の商船高専3校の商船学科が、「商船学科複数校志望受験制度」の対象です。
商船学科を第一志望とする場合、他の2校の商船学科を第二・第三志望として併願できます(広島商船高専・大島商船高専の令和9年度募集要項)。
弓削商船高専の令和9年度の入試案内には、商船学科複数校志望受験制度で出願した場合、本校のその他の学科を併願することはできないと書かれています。志望校の募集要項で、併願の条件を確認しましょう。
評定(中学校の成績)の点数のつけ方は、高専ごとに決まっています。令和9年度の募集要項で確認できたのは、次の2校です。
- 広島商船高専:評定の合計135点(3年間の5段階評価×9科目)
- 大島商船高専:各学年9教科の評定の合計の2倍で270点満点
弓削商船高専の評定の点数は、今回の確認では募集要項の本文を読み取れなかったため、掲載していません。志望校の募集要項で確認してください。
広島県内には、別の制度として「広島県内2高専連携入試制度」もあります。
広島商船高専の総合科学科と、呉高専(機械工学科・電気情報工学科・環境都市工学科・建築学科)を併願できます(広島商船高専の令和9年度募集要項)。
各高専の学生募集要項はこちら
広島商船高専の学生募集要項(令和9年度)
大島商船高専の学生募集要項(令和9年度)
弓削商船高専の入試案内(令和9年度)
国立高専の受験で複数校志望受験制度を活用する際の注意点
国立高専の複数校志望受験制度は、受験生にとって合格機会を増やす役割を果たします。一方で、志望する高専によっては注意点が必要です。
- 高専ごとに学力検査の科目や配点が異なる場合がある。
- 同じ学校でも併願できない学科がある。
- 合格できるのは1校のみで、志望順位が上位の高専が優先される(地区ごとの書き方は③で説明)。
- 北海道・東北では、合格したら必ず入学する者が対象になる。
※①、②については、既に説明済みのため割愛。
③に関わる条件に「2校以上に合格することはできず、志望順位が上位の高専の合格を優先する」があります。
令和9年度の募集要項では、北海道(函館高専)・東北(秋田高専・仙台高専)・中国・四国の商船学科(広島商船高専・大島商船高専)のいずれにも、この趣旨が書かれています。
ただし、制度は地区ごとに別のものです。判定の説明の書き方は、次のとおり地区によって違います。
- 北海道:函館高専の募集要項と入試Q&Aに、第一志望が不合格でも条件を満たせば第二志望以下で合格となる「スライド方式」で決まり、学力検査と調査書を総合した総合得点の高い受験者から順に合格となる、とあります。
- 東北:仙台高専の募集要項に「スライド方式」とあり、秋田高専の募集要項には、合格の条件を満たす高専のうち志望順位が最上位の高専のみ合格となる、とあります。
- 中国・四国(商船学科):広島商船高専・大島商船高専の募集要項に、複数校に合格することはできず、第一志望校の合格を優先し、次に第二志望校の合格を優先する、とあります。
北海道と東北では、志望順位は、合格の条件を満たした高専が複数あるときに、どの高専に決まるかを決めるものとして説明されています。
第二志望以下にしたことで、ほかの受験生に枠を取られて不合格になる、という説明は見当たりません。
中国・四国(商船学科)は、判定の方法を各校の募集要項で確認してください。
④に関わる条件に「合格したら必ず入学すること」があります(北海道・東北の募集要項)。
希望できるからといって、むやみに遠方の高専まで志望校に入れてしまうと、合格した後に苦労することに……。たとえば北海道と一括りにいっても、4つの高専は遠いです。
遠方の高専も候補に入れる場合は、寮生活も一緒に考えておくと安心です。寮については、別の記事で整理しています。
高専での寮生活と自宅通学のメリットとデメリットを徹底比較|元副寮長が解説
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次に確認すること|第一志望の募集要項
ここまでの内容を、親子で次の4点に分けて確認してみてください。
- 志望校がどの地区の制度に入っているか(北海道・東北・中国四国の商船学科)
- 第一志望の高専の募集要項(北海道・東北は、第一志望の高専に出願します)
- 志望順位を、入学したい順に並べられるか(入学したくない高専は入れない)
- 学力検査の科目と配点(東北は、秋田高専が第一志望でも社会が必要です)
募集要項は年度ごとに変わることがあります。令和9年度(2027年4月入学)の最新の内容は、必ず第一志望高専の募集要項で確認してください。
志望順位が決まったあとの勉強については、別の記事で整理しています。
【高専の学力入試対策】過去問と模試で合格を目指す勉強法を解説!
まとめ|国立高専の複数校志望受験制度は地区で違う
本記事では、高専受験に不安を感じる中学生や保護者の方のために、国立高専の複数校志望受験制度について解説しました。
本制度は、複数の高専を同時に出願できる仕組みです。志望校の選択肢が広がり、第一志望校に加えて、複数の高専を志望することで、合格の可能性を上げることができます。
本制度を確認できるのは、北海道・東北・中国四国(商船学科)の3地区で、条件は地区ごとに違います。
制度を活用する際は、以下の注意点を必ず確認しましょう。
- 合格できるのは1校のみで、志望順位が上位の高専の合格が優先される(令和9年度の募集要項で確認できた3地区)。
☞入学したい順に並べましょう。 - 北海道・東北では、合格した高専に必ず入学する者が出願の対象。
☞必ず入学できる高専だけを志望校に含めましょう。中国・四国の条件は、各校の募集要項で確認してください。
志望高専によって、学力検査の科目や配点、併願できる学科が異なります。
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